名取式と師範試験

2025.02.20

先週と今週にかけて家元宅での名取式と師範試験が執り行われました。

今回私の取立ては二名、孫弟子さん一名、島根の関連の孫弟子さん二名が参加しました。

コロナ禍以降、名取式の形式も簡略化されて、お盃の儀も一斉になり、お蕎麦はなくなり、親御さんなどの付き添いもなるべく一人でということになり・・・。ちょっと寂しい感じではありますが、でも今回は若い方が多く振袖姿も艶やかで、華やかな待合室。「ああ~これだけの若手の人が日本舞踊を愛好してくれている」と思うとやっぱり嬉しいですね。しっかり日本舞踊を大切な文化として継承し、残していかねば!!(^^♪  ぶっつけ本番での名取式、新名取本人たちはドキドキでしたが、何とか無事恙無く終了しました。

私が名取を頂いた時代は大家元で、まだ先代の勘太郎師もご健在、今は椅子席ですが、当時はフカフカのお座布団での正座での会式。お盃の作法や、お免状を頂く作法にも緊張しますが、先ずは、自分の番が回ってきたときにシビレて立てなくなったりしない様に(アーメン)と願う方が必死でした。(笑) 最後のお蕎麦の時は、緊張のあまり、たった一口のお蕎麦が口の中に吸い込めない‼! 自分でも思いがけない感覚で、そんな自分に更に緊張したのを今でも覚えています。中学生だった当時は恥ずかしい想い出ですが、今は愛着のあるエピソードになりました。

師範試験は、手ほどき曲の「歌舞伎踊り」「関の小万」「槍奴」が課題曲です。他流に比べたら簡単なようにも感じますが、先生はキチンとした基本を身に付けているべき という観点からこの曲になったそうです。

お辞儀、立ち座り、構え、三つ首、腰をいれる、すり足、扇子の作法、おすべり、足を割る、踏み出す、槍の扱い等・・・・基本のきのじです。

5人か、6人ずつ舞台で試験になりますが端になると、槍を扱う時の気苦労が半端なく・・・何故なら、サイドの板や鏡に傷でもつけはしないかというがあるのです。

他には、一緒になった組のメンバーによって 時にはアンラッキーな場合もあり(笑) 兎に角、己の今迄の稽古を信じて’変な間’に吊られない様に、集中あるのみ!  同じ曲 同じ流儀なのに微妙に違うニュアンス? 人から人へ伝える事の難しさでもあり、面白さでもあり。これを「あじわい」という言葉では片づけられないのが「試験」

よい結果であってくれ~~。